橋本努さんによる拙著の書評が、『週刊東洋経済』誌に掲載されています、

週刊東洋経済』誌上で、橋本努さんに拙著について書評していただきました。

「余暇」についてのタルドの議論は重要だし面白いと思いながら書いていた部分で、評価していただきとてもありがたいです。

「余暇」を論点に独自の経済社会学を築く
評者:橋本努(北海道大学大学院教授)
 『週刊東洋経済』6332号133ページ(2011年6月21日号)

書評の全文は以下で読むことが出来ます。

http://www.toyokeizai.net/life/review/detail/AC/5d39225f449eac88c8edb4cce25e26a9/

京都新聞に書評を掲載いただきました

今日の京都新聞朝刊の書評欄に、拙著の書評を掲載いただいています。
評者は村澤真保呂さんです。
内容についてご紹介いただいただけでなく、拙著の意義についても取り上げていただいています。
ありがとうございます。

著者によれば、「外部へのはけ口を求める現在の欲望を、未来への欲望へと変えることによって解決する」試みである。当時の帝国主義が行き着く果てに地球規模の競争社会を予想したタルドは、それが人類にとって不幸であることを確信し、「もうひとつの経済学」を確立しようとしたのである。

*[本]『ガブリエル・タルド』専用ページ

ガブリエル・タルド――贈与とアソシアシオンの体制へ』、もうすぐみなさまに手にとっていただけるかたちになるのではないかと思います。
自分自身も楽しみにしています。

洛北出版のウェブサイトに、専用のページを作成いただきました。

かっこうよい仕上がりとなってます。本書の内容の一部もご覧いただけます。

ページのなかの
「慎ましやかな欲求の循環のなかで暮らすことは、もはや、望めないのか?」
とかかれた部分や、「刊行予定のご案内(2011年4月作成)」の部分は、めくることができます。
試してみてください。

本を注文していただくこともできます。ぜひぜひごらんください。

ガブリエル・タルド――贈与とアソシアシオンの体制へ』(洛北出版、書籍詳細ページ)
http://www.rakuhoku-pub.jp/book/27132.html


また、本の注文については中倉 trakukanaあっとgmail.com (あっとを@に置き換えてください)までご連絡いただければ、対応させていただきます。

洛北出版より本がでます

昨年提出した博論をもとに、洛北出版より本がでます。

ガブリエル・タルド――贈与とアソシアシオンの体制へ』

というタイトルです。


洛北出版の竹中さんがとても格好のよい書物にしてくださいました。見かけたらぜひお買い求めいただければ。

ガブリエル・タルド ― 贈与とアソシアシオンの体制へ』
   中倉智徳 著

   四六判・上製・446頁
   定価[本体3,200円+税]
   発行 洛北出版
  ★ 4月末 刊行予定


労働の喜びとは何か? それは、共にあり、共に作業すること、社交性が花を咲かせることである。そのためには、余暇の増大と、無数のアソシアシオンの群生が不可欠なのである。―― タルドの〈欲望と信念に基づく富の理論・統治術〉を丁寧に読み解く。

Nakakura Tomonori
1980年生。専門は社会学、社会思想史。
現在、立命館大学非常勤講師。
論文に、「発明の力能 ― ポストフォーディズムにおけるガブリエル・タルド」(『現代思想』2007年7月号所収、青土社)など。
翻訳に、マウリツィオ・ラッツァラート著『出来事のポリティクス ― 知‐政治と新たな協働』(共訳、2008年、洛北出版)など。

洛北出版のブログでも4回続けて紹介してもらっています。

タルド ― 贈与とアソシアシオンの体制へ』その1
http://rakuhoku.blog87.fc2.com/blog-entry-713.html

タルド ― 贈与とアソシアシオンの体制へ』その2
http://rakuhoku.blog87.fc2.com/blog-entry-714.html

タルド ― 贈与とアソシアシオンの体制へ』その3
http://rakuhoku.blog87.fc2.com/blog-entry-715.html

タルド ― 贈与とアソシアシオンの体制へ』その4
http://rakuhoku.blog87.fc2.com/blog-entry-716.html

近況

ご無沙汰しています。
新年度になり、身分も変わりました(出身大学院である先端総合学術研究科の研究指導助手)。
仕事があるのはありがたいことです。

同時に、震災、そして原発事故をうけて、あまりに知らないことが多すぎたと、少しづつ関連資料などを読んでいます。どうしてこうなっているのか、歴史的にも押さえておくことが、内心の落ち着けどころを見つけるためにも必要なようです。

またタルド関連では、4月16日に和歌山で開催されるデュルケームデュルケーム学派研究会で報告させていただきます。D研には東北大学からの参加者もおおく、すぐに顔が浮かびます。いま発表させていただいてよいものかと迷いはありつつも、博論の内容からその先へと付け加えるかたちで報告させていただきたいと思っています。


デュルケームデュルケーム学派研究会第22回研究例会「タルドとモースの革新――デュルケーム学派の内外」

日時:4月16日(土)午後1時
場所:和歌山大学まちかどサテライト
報告:
・溝口大助(東京外国語大学) 「初期モースの宗教論について」

・中倉智徳(立命館大学) 「発明し模倣する個人からなるアソシアシオン――ガブリエル・タルドにおける社会学経済心理学

1月16日,18−23日「甦るカンボジア――伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」@立命館大学国際平和ミュージアム

来週、「甦るカンボジア――伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」という写真展を国際平和ミュージアムにて開催します。
内藤順司氏写真展
「甦るカンボジア――伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」
・写真展日時:2011年1月18日(火)〜1月23日(日)、10:00〜16:00
 (月曜休館)
・場所:立命館大学国際平和ミュージアム 中野記念ホール
 [外部リンク]国際平和ミュージアム アクセスマップ
 入場無料。 IKTTで織られた布も併せて展示いたします。

http://www.arsvi.com/a/20110116.htm

クメール伝統織物研究所(以下、IKTTと略記)の伝統の森再生プロジェクトを撮影した内藤順司氏の写真を1週間程度展示する。その期間中に、IKTTの所長である森本喜久男氏の講演会、そして撮影者である内藤順司氏の講演会をおこなう。同時に、IKTTにおいて織られた布を展示する。
 IKTTは、カンボジア・シエムリアップを拠点に、長い戦乱のなかで失われつつあったカンボジア独自の伝統織物の復活をつうじて、人々の生活と、それを支える自然環境の復元を目指している。その活動は単に織物の再生にとどまることなく、女性、とりわけや障害者にディーセントな労働を提供する場ともなっている。また、近年の「伝統の森」再生プロジェクトでは、伝統的な織物を支えてきた自然環境や村の生活そのものの再生を目指して養蚕、耕作、森の再生、祭りや伝統技術ならびに生活文化の再生、教育環境の整備などの活動を通じて、単なるNPOの活動を超えたレベルで、一つの「村」と「森」とを荒地に創りだしている。このような環境に配慮したコミュニティ創出の試みは、世界的にみても稀有な例であり、「支援」および「生存」の未来のあり方を提示しているのではないだろうか。


併せて、今回の写真展の写真を撮影されたフォトグラファーの内藤順司さんの講演会を1月16日に開催します。


内藤順司氏講演会
「私はなぜ、海外で活躍する日本人を撮るのか?」
・講演会日時:2011年1月16日(日) 14:00〜
・場所:立命館大学国際平和ミュージアム
 入場無料。
 *お越しいただいた方には極力参加できるよう努めてまいりますが、定員に限りがあり、入場できない場合がありますことをご了承ください。

会期中22日には、クメール伝統織物研究所代表の森本喜久男さんの講演会もあります。

■森本喜久男氏講演会
「甦るカンボジア――伝統織物の復興が、“暮らし”と“森”の再生に至るまで」
・講演会日時:2011年1月22日(土) 14:00〜
・場所:立命館大学国際平和ミュージアム
 入場無料。
 *お越しいただいた方には極力参加できるよう努めてまいりますが、定員に限りがあり、入場できない場合がありますことをご了承ください。


ぜひお越しください。

フレデリック・ケックさんに人類学の現在をきいた

金曜日にはフレデリック・ケックさんが立命に来られ、「レヴィ=ストロース以後の人類学」というテーマで報告された。
ブルーノ・ラトゥール、エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ、ポール・ラビノウ、そしてフィリップ・デスコーラを紹介しておられた。
科学人類学と人と動物の関係についての人類学として紹介されておられたのは、ケックさんご本人も鳥インフルエンザについての本を出されたように、このあたりのテーマに関心があるからでもあるだろう。

前のポストで紹介したように、エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロは近刊のタルド論文英訳本の解説を担っており、Métaphysiques cannibales(2009)という本でドゥルージアン人類学者として知られているとのこと。

ケックさんになんでタルドをいま人類学者が読み返しているのか?と直接尋ねるも、明確な答えは来なかった。ですが、ケックさんは息子のアルフレッドが「アガトン」というペンネームでアクシオン・フランセーズに入ってたなどということを知っていたり、博識であることを改めて感じた。
そして、タルドが読み返されている理由については、ケックさんがいっていた、エピステモロジーブルデューの科学観がout of dateであって、いまはラトゥールの科学観のほうがインスパイアされるものがあると言っていたことのほうにヒントがあるように思えた。

むこうも予算的な問題では人類学は厳しい、というお話もされていて、どこも同じか、とも思いつつも、こちらの申請書類提出直後に刺激的な会に参加でき、さっそくモチベーションを高められたのはありがたかった。