千夜千冊で『模倣の法則』が取り上げられています

すでになんどか告知されていましたが、
松岡正剛さんが千夜千冊で『模倣の法則』を取り上げています。

千夜千冊 遊蕩篇 第1318夜 ガブリエル・タルド『模倣の法則』
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1318.html

これを読んでいて、僕自身はもともと模倣への関心からタルド研究へとシフトしていったため、村上隆夫『模倣論序説』や横山滋『模倣の社会学』への言及をみてうれしくなりました。
これらはフランスでのタルド著作集の刊行以前にあった日本でのタルドに関して読める数少ない著作で、卒論を書いているときに何度も呼んだ記憶があります。

一方、すでに上記にもかいつまんだが、資本主義市場におれる「欲望」と「消費」の関係も、模倣論の組み立てによってはさらに深まっていく可能性がある。
 すでにタルドは『模倣の法則』第7章で、価格決定に関する大胆な仮説を綴っていて、そこでは需要と供給のバランスなどで商品価格が決まっているはずはない、そこにはむしろ「模倣価格の法則」とでもいうものがはたらいているはずだとも主張しているのである。

このように指摘されていますが、まさにそのとおりで、タルドは何度も需要供給法則で価格は決定しない、経済学者たちは自由競争に「魔術的な効力」をもたしている、と批判し、むしろ、対面的でなくなった市場においては、価格決定に重要なのは、ある売り手の不確実な情報しかないなかでの蓋然性をともなった試行錯誤と、周囲の売り手の模倣的な慣習であると主張していました。
タルドの模倣説(として理解されているもの)は、その最初から、当時の主流派の経済学批判を行い、自らの異端的な構想を作り上げるための道具なのであって、それが晩年の『経済心理学』にまとめられています。