菊谷和宏『トクヴィルデュルケーム東信堂
 立 命大の社会学研究科、とくに景井充先生、崎山治男先生、出口剛司先生を中心に行われている、「社会学若手コロキアム」で著者ご本人と話すことができた。
飲み会も含めて有益な話を聞けた。


ちょっと違うけど、「社会的なもの」の終焉という話は、ラトゥール周辺の人も言っていて、こちらも要チェック。


ECD 『失点・イン・ザ・パーク』太田出版
 たぶん、『ECDIARY』に続いて、2作目の、自伝的文章。
 アルコール中毒になって、精神病院に入院して出てきて活動再開しているという点で、東ひでおの『失踪日記』と併読するとよいです。
そういえば、肉体労働についての記述があるのも同じか。
ニートとかフリーターとか考えたい人は、ここに出てくるような、あっけらかんとやってくる未来の暗さあるいはそれに伴う生活の転換がどうなるのかについて、脅すだけじゃなくてちゃんと記述してほしい。

 四年前まで、僕はLという肉体労働専門の人材派遣会社で働いていた。Lは登録制で、一度自分の名前を登録しておけば仕事をしたい時にこちらから電話をすれば翌日の仕事を割り当ててくれる。
 …僕がラップグループ、キミドリのDJマコちゃんから紹介されてLの面接を受けたのは三二歳の時だった。もう一度最初のページからひとつひとつ、募集広告を見直した。三五歳より上の人間を募集している広告はひとつもなかった。
 三九歳の僕にはバイトはできないということだ。働くとしたら正社員になるしかない。
 この歳までバイトなら数限りなくやってきたが就職したことはない。嫌な予感がする。まだ開いていると信じて疑わなかった扉が実は閉じていた。

『失点・イン・ザ・パーク』(P72)