先端総合学術研究科の主催するイベントで、大澤真幸さんの講演「帝国的ナショナリズム」を聞きに行く。
『帝国』を非常に簡潔にまとめられていた。
軍事・警察のみに主眼をおく「最小国家」が、他の理念、国家を脅威からの攻撃だけでなく、そのような他者が存在しているということ自体に脅威を感じる「オーバーセンシビリティ」によって「最大国家」となってしまう、という指摘などあり。
大澤さんの講演は、まず問いを出し、ゼロから部品をくみ上げ、話の筋はまっすぐ、途中で足りない部品があるなら補足するという具合で、とても明晰なものだった。ノートをほとんどとらなかった僕がここで話を再現してみせよ、といわれてもすぐにできるほどだ。
先端研の教員である後藤玲子先生の質問を皮切りに、厳しい質問がいくつか出ていたのも明快な講演だったことの表れだろう(ついでに、西川長夫先生は首をかしげながらずっと目をもんでおられた)。
講演という場で複雑なことを話すのは難しい。
話の筋の再現可能性を聴講者に与え、その人たちに議論してもらう、
というのはかなり良い講演の仕方なのではないだろうか。
と、いうわけで、その後、講演の話に触発されて何人とも何度も議論したのであった。


話とは関係ないけど、大澤さんの風貌・発話は想像してたのとはまただいぶ違ってたな。ほうほう。