マウリツィオ・ラッツァラート 著『出来事のポリティクス ―― 知‐政治と新たな協働』刊行予定です

かねてより準備していた、ラッツァラートの本の邦訳が、ついに洛北出版より刊行予定です。
僕は足を引っ張ってばかりで(まったく謙遜でもなんでもなく、です)、
無事本になったのは共訳者の村澤さん、編集の竹中さんのご尽力のおかげです。


ラッツァラートについては、このページをごらんいただければと。
Maurizio Lazzarato (マウリツィオ・ラッツァラート/ラザラート)
http://www.ritsumei.ac.jp/~so029997/db/lazzarato.html
そのほか、ラッツァラートの論文「世界を創造する――現代資本主義と<美的/感性的>な戦争」が、今月の『現代思想』に、拙訳で掲載予定です。


以下は洛北出版のブログより転載です。

+Message from...ラッツァラート著『出来事のポリティクス』  [洛北出版のblog]
http://rakuhoku.blog87.fc2.com/blog-entry-191.html

近刊のご案内(★ 6月中旬刊行予定)

マウリツィオ・ラッツァラート 著
『出来事のポリティクス ―― 知‐政治と新たな協働』

村澤真保呂・中倉智徳 訳
四六判・上製・382頁
定価【本体価格2,800円+税】
★ 6月中旬刊行予定


【原 著】
Maurizio Lazzarato, La politica dell'evento, 2004.
 本書は、イタリアのカラブリア大学「科学・技術・社会」講座博士課程でおこなわれた5回の講義の成果として、2004年に刊行された書籍の日本語版です。原著には収録されていない「ラッツァラートへのインタビュー」をあらたに加えております。


【オビのことば】
耐え忍ばないことを欲し
生成変化への道を開く

出来事は、事故、リスク、社会現象として、国家や企業、マスメディアによって回収され、無力化されてきた。人々の生に寄生するこのコントロール社会によって弛緩させられないために、さまざまな社会運動を一人ひとりが開始することを呼びかける。


【カバーのことば】
 現代は、工場が製品を生産する時代ではなく、企業が「世界」を生産する時代である。この変化にともない、かつて労働運動が依拠してきた「労働」は、資本からも国家からも見捨てられ、いまやコントロールの手段としての「雇用」に取って代わられた。人々の創造性(脳の協働)をたえず捕獲しつづけるこの「知-政治」を、いかにして解体するか?

 本書は、現代の資本主義と労働運動に起こった深い変容を描きだすとともに、不安定生活者による社会運動をつうじて、新たな労働論、コミュニケーション論を提唱する意欲作である。イタリア生まれの新鋭の思想家、初の邦訳。


【目 次】

chapter 1
出来事と政治
  ネオ・モナドジーノマドジー
  包囲から捕獲へ
  可能世界の淘汰
  集合的なものについての批判
  配分的全体と集合的全体
  自然と社会
  怪 物

chapter 2
コントロール社会における生と生体の概念
  監禁されるものは外部である
  規律社会からコントロール社会へ
  群集、階級、公衆
  生と生体
  労働運動と規律社会

chapter 3
企業とネオ・モナドジー
  コミュニケーション/消費
  労働と可能性の生産
  資本‐顧客
  モナドとしての労働者、その自律と責任
  金融界と表現機械
  企業と脳の協働
  「生産」という概念
  集合化した脳の活動とその協働
  脳の協働による生産――共同財
  測定とその外部
  共同財をめぐる闘争
  資本主義と貧弱な生の様式

chapter 4
表現とコミュニケーションの対立
  会話と世論
  テレビ
  会話とナショナリズム
  時間のテクノロジー
  インターネット
  権威主義的発話と説得的発話
  ミハイル・バフチンと差異の政治学
  哲学的ノート/存在論としての対話主義

chapter 5
ポスト社会主義の政治運動における抵抗と創造
  マジョリティの基準としての賃金労働者
  マジョリティ/マイノリティ
  生体、抵抗、権力
  戦争の体制

chapter 6
マウリツィオ・ラッツァラートへのインタビュー

訳者による解説
人名索引


【著者について】

 マウリツィオ・ラッツァラート Maurizio Lazzarato
1955年、イタリア生まれ。社会学者、哲学者。現在はパリで働きながら、非物質的労働、労働者の分裂、社会運動などについて研究を行なっている。
 アントニオ・ネグリやヤン・ムーリエ=ブータンらとともに、フランスの政治思想誌『Multitudes』の創刊以来の編集委員でもある。
 非常勤芸能従事者や不安定生活者などによる連携組織の活動にも参加している。また、フランスにおけるガブリエル・タルド著作集発行の中心人物のひとりで、タルド研究者としても知られる。
 邦訳論考に「「マイノリティ」の闘争と欲望の政治」(『現代思想』2000年3月号所収、青土社)、「マルチチュードと労働者階級――ラッツァラートからパオロ・ヴィルノへの問い」(同誌2003年2月号所収)、「所得を保証すること――マルチチュードのための政治」(『VOL 02』2007年所収、以文社)等がある。