コリン・ビーヴァン著 茂木健訳 2005[2001] 『指紋を発見した男――ヘンリー・フォールズと犯罪科学捜査の夜明け』主婦の友社
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見てきたように書いてある箇所もあって、少しうさんくさげな雰囲気もあるけれど、それだけに楽しく読める。参考文献をあげているのも嬉しい。ヘンリー・フォールズについての本なんてほかにそれほどないし。
指紋についての本、というだけでなくて、当時の有名事件をいくつか詳しく追っていて、面白い。司法制度について、刑罰制度、当時の刑罰理論などについても、ごく一般的なかたちで触れている。


生体認証、バイオメトリクス技術は現在、頻繁に取り上げられているが、何が問題なのだろうか。
もし問題があるとしたら、なんとなく管理社会への反発、というのでは見極められない問題であるように思う。むしろ、情報の取得―保存―検索―認証とか、分けて問題を考えたほうがよいのでは。まずは、取り扱うものが生体だから=変更不可能だから問題なのか、あるいは常に持ち歩いてる身体から、不意に情報がとられる可能性があるから問題なのか、取られた情報の乱用が問題なのか、それは検索が誰によって行われるから問題なのか、認証が本当に確実なのかわからないから問題なのか。とか、分けて考えてみたほうが、バイオメトリクスの問題点が、あるとしたらでてくるのでは。